外国人介護人材の夜勤の受け入れを検討している介護施設から、
よく寄せられる質問の一つが「外国人スタッフは夜勤に入れますか」というものです。
結論からいうと、技能実習生や特定技能外国人も、必要な教育と安全管理体制を整えれば夜勤業務に配置できます。
しかし、入職後すぐに夜勤を任せたり、日本人職員と同じ基準だけで判断したりするのは適切ではありません。
日本語能力、介護技術、緊急時の対応力などを確認し、段階的に夜勤へ移行することが重要です。
この記事では、外国人介護人材を夜勤に配置する際の条件や注意点、
施設側が準備すべき教育体制を解説します。
外国人介護人材は夜勤に入れる?
外国人介護人材も、一定の条件を満たせば夜勤業務に従事できます。
技能実習生については、夜勤などの少人数で行う業務や緊急対応が必要な業務に配置する場合、
利用者の安全確保と技能実習生を保護するための措置を講じる必要があります。
特定技能外国人についても、在留資格だけを理由に夜勤が禁止されているわけではありません。
施設の勤務体制や本人の能力を確認したうえで、夜勤に配置できます。
ただし、「外国人だから夜勤ができない」「人手不足だからすぐに夜勤へ入れる」
という考え方ではなく、本人が安全に業務を遂行できるかを個別に判断する必要があります。
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夜勤開始時期に一律の決まりはない
外国人介護人材が夜勤を始める時期について、「入職後○か月から」という全国共通の基準が定められているわけではありません。
実際の開始時期は、次の項目を確認して判断します。
- 利用者の名前や状態を把握している
- 夜間の巡回方法を理解している
- ナースコールへ適切に対応できる
- 体位交換や排泄介助を安全に行える
- 服薬や記録に関する指示を理解できる
- 転倒、急変、誤嚥などの緊急時に報告できる
- 夜勤責任者や看護職員への連絡方法を理解している
- 介護記録を日本語で記入できる
日本語能力が高くても、利用者ごとの注意事項を理解できていなければ、安全な夜勤はできません。
反対に、日本語に多少不安があっても、決められた報告手順や介護技術を十分に習得し、
周囲の支援体制が整っていれば、段階的に夜勤を始められる場合があります。
いきなり一人夜勤を任せない
外国人介護人材を夜勤に配置するときは、最初から一人で担当させるのではなく、複数の段階を設けることが大切です。
1.日勤帯で基本業務を習得する
まずは日勤業務を通して、利用者の状態、施設内のルール、介助方法、報告の仕方を身につけてもらいます。
特に、利用者ごとの身体状況や認知症の症状、食事や排泄時の注意点を理解しているか確認します。
2.遅番や早番を経験する
夜勤前に遅番や早番を経験すると、就寝介助や起床介助など、夜間帯に関係する業務を学べます。
夜間に使用する物品の場所や、申し送りの流れも確認しておきましょう。
3.日本人職員との同行夜勤を行う
初めての夜勤では、経験のある日本人職員と一緒に勤務する同行夜勤を実施します。
見学だけではなく、職員の指導を受けながら、巡回、排泄介助、記録、申し送りなどを実際に行ってもらいます。
4.評価後に夜勤メンバーとして配置する
同行夜勤終了後は、本人任せにせず、チェックシートを使って習得状況を評価します。
不足している項目があれば再度指導し、安全に勤務できると判断してから正式に夜勤へ配置します。
夜勤前に確認したいチェックポイント
外国人介護人材を夜勤に配置する前に、施設側は次の内容を確認しましょう。
利用者の安全に関する項目
- 転倒リスクの高い利用者を把握している
- 食事や水分摂取に注意が必要な利用者を把握している
- 認知症による徘徊や不穏への対応方法を理解している
- 体位交換や排泄介助を安全に行える
- 緊急時に勝手な判断をせず報告できる
日本語とコミュニケーション
- 夜勤の申し送りを理解できる
- 利用者からの訴えを聞き取れる
- 分からない言葉をそのままにせず質問できる
- 電話で氏名、状況、場所を伝えられる
- 介護記録を決められた形式で入力できる
緊急時の対応
- 転倒時の報告手順を理解している
- 利用者の意識や呼吸を確認できる
- 救急要請が必要な場合の手順を知っている
- 看護職員や管理者の連絡先を把握している
- 火災や地震発生時の避難方法を理解している
チェック項目は「できる・できない」だけでなく、指導者が実際の動きを確認して評価することが重要です。
やさしい日本語と写真を活用する
外国人介護人材への夜勤教育では、口頭説明だけに頼らない工夫が必要です。
例えば、緊急時の手順書は長い文章ではなく、短い日本語や写真、図を使って作成します。
「容体が急変した場合は速やかに上司へ報告する」よりも、「呼びかけても返事がないときは、すぐに○○へ電話する」と具体的に伝えたほうが理解しやすくなります。
施設独自の略語や専門用語についても、外国人職員が理解できる一覧表を作成すると効果的です。
分かりやすい表現の例
- 離床センサー作動
→ ベッドから起きたことを知らせる音 - 不穏状態
→ 落ち着かず、歩き回ったり怒ったりしている状態 - バイタル測定
→ 体温、血圧、脈拍などを測ること - オンコール
→ 夜間に連絡できる看護師や責任者
外国人職員だけに特別なマニュアルを用意するのではなく、新人職員全員が理解しやすい資料に改善することが、施設全体の事故防止につながります。
夜勤を任せた後も定期的に面談する
夜勤を開始した後も、定期的な面談を行いましょう。
外国人職員の中には、分からないことがあっても「迷惑をかけたくない」「注意されたくない」と考え、質問できない人もいます。
面談では、次のような質問をすると状況を確認しやすくなります。
- 夜勤で怖いと感じる業務はありますか
- 利用者の名前と注意事項は分かりますか
- 緊急時に誰へ連絡するか分かりますか
- 記録で分からない言葉はありますか
- 一緒に勤務する職員へ相談できますか
- 睡眠や体調に問題はありませんか
業務能力だけでなく、夜勤による睡眠不足や精神的負担にも配慮する必要があります。
外国人介護人材の夜勤で起こりやすい問題
外国人介護人材の夜勤配置で起こりやすいのは、日本語能力そのものよりも、施設側との認識の違いです。
例えば、「何かあったら連絡してください」と伝えても、何を「何か」と判断すればよいのか分からない場合があります。
「転倒したとき」「38度以上の発熱があるとき」「呼びかけに反応しないとき」など、連絡が必要な状況を具体的に伝えましょう。
また、日本人職員が忙しそうにしていると、外国人職員が質問を遠慮してしまう場合があります。
質問したことを責めるのではなく、「分からないまま行動するより、確認するほうが安全である」という職場文化を作ることが重要です。
監理団体や登録支援機関との連携も重要
技能実習生の場合は監理団体、特定技能外国人の場合は登録支援機関との連携も欠かせません。
施設内では話しにくい悩みを、監理団体や登録支援機関の担当者に相談することがあります。
夜勤開始前後に本人との面談を実施し、業務内容、体調、人間関係などを確認することで、早期離職やトラブルを防ぎやすくなります。
中部ケア協同組合では、外国人介護人材の採用手続きだけでなく、入職後の生活、日本語教育、職場への定着まで継続的に支援しています。
まとめ|外国人介護人材の夜勤は段階的に進める
外国人介護人材も、必要な教育と安全管理体制を整えることで夜勤業務に従事できます。
大切なのは、国籍や在留資格だけで判断せず、一人ひとりの日本語能力、介護技術、緊急時対応力を確認することです。
日勤での教育、早番・遅番、同行夜勤、習得状況の評価という順番で、段階的に進めましょう。
中部ケア協同組合では、名古屋・愛知県を中心に、外国人介護人材の受け入れを支援しています。
「夜勤教育の進め方が分からない」「外国人職員向けのマニュアルを整備したい」「技能実習と特定技能のどちらが施設に合うか知りたい」といったご相談にも対応しています。
外国人介護人材の採用や定着支援についてお悩みの介護施設様は、お気軽にお問い合わせください。
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参考情報
- 厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受け入れについて」
- 外国人技能実習機構「介護職種関係のよくある質問」
- 出入国在留管理庁「特定技能制度」
